低線量(比較的少ない放射線の被ばく)の健康影響を考えるときには、
・誰にでも現れる確定的な影響ではありません、
・不確実性を伴った、確率的な影響です、
という「不確かさ」を伴う対象である「リスク」の考え方を知ることが大切です。
現在、低線量の健康影響について100mSv(ミリシーベルト)以下は心配ないと言う専門家がいる一方で、1mSv以下にすべきだと言う専門家もいます。科学的にどこまで分かっているのか、どのような不確実性があるのか、信頼できるエビデンス(根拠)は何か、といった問題にきちんと答えてくれる信頼できる専門家はいるのでしょうか?
リスクコミュニケーションとは、リスクに関する情報を可能な限り共有し、互いに共考するための手法で、自分自身が得心できる判断方法を知る手助けになるものです。私たちは、低線量の放射線健康リスクコミュニケーションとして、放射線生物学、社会心理学、リスクコミュニケーション、公衆参画、社会的責任の専門家との協働により、地域市民の皆さんと一緒に納得できる低線量の放射線健康影響リスクのガイドブックを制作しました。
このガイドブックには、低線量の放射線健康影響について、現時点で科学的に分かっていること、不確実なこと、科学的に分かっていないことができるだけ分かりやすく記述されています。記載内容についての出所も確かめられるように参考文献名もできるだけ付けました。参考文献は大学図書館などで入手できます。専門用語も多数出てきますが、脚注などで説明を加えました。
ガイドブックは「活動の流れ」の中の「ガイドブック改訂」でご紹介しています。
このガイドブックが皆さんご自身で、低線量の放射線健康リスクを客観的に冷静に判断していくために役立つことを願っています。
山野直樹
「低線量影響における地域参画型リスクコミュニケーション手法の構築」研究代表者